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変革の瞬間−19
プロダクトインテグレーション
プロダクトインテグレーション

かつて、情報システムの構築というものは、まずコンピュータを買い、そこをスタートとして徐々にシステムを増強していくものだったので、このスタート時点での視点は意識して変えないかぎりずっと踏襲されてしまう。メインフレームやオフコン時代の企業情報システムの構築とは、開発といっても既成概念主導だったのである。
 初期のコンピュータは遅いし、高いし、難しいから、経営の真の道具として使うことができなかった。だから、コンピュータを企業に導入するということ、つまりシステムを構築することの主題は、「どうやってコンピュータの機能を最大限に引き出して使うか」だったのである。この時代を「プロダクトインテグレーションの時代」といっておこう。
 この「プロダクトインテグレーション」の視点は、われわれの頭のなかに極めて深く食い込んでいるので注意を要する。例えば、「グループウェアを使って何々をする」とか、「ERPパッケージを使って何々をする」という言い方にあまり抵抗を感じないが、それはいままでの「プロダクトインテグレーション」の視点なのである。
 また、この時代のインテグレーションは、コンピュータを売るための付帯ビジネスであり、コンピュータを売る行為の一部であった。だから、コンピュータメーカーが、インテグレーションビジネスを主導する地位を占め、コンピュータが全体のビジネスを規定するに至ったのである。そんななかでソフトメーカーは、大きく括って考えれば、メーカーが主導するシステム構築市場への「人貸しビジネス」となる構造をつくりながら育っていった。
 一方、米国ではイントラネット技術による情報装置が、経営の道具として使えることに気がつき、プロダクトを選び、つなぎ合わせて使い始めた。つまり、コンピュータは全体の一部に過ぎなくなった。問題は、経営者が「どんなイントラネット環境をつくって企業経営をしていきたいのか」、そのために「どんなプロダクトを使えばよいのか」である。
 これからは、「こういうことをするためにグループウェアを使う、ERPパッケージを使う」とならなければならない。これがビジネスインテグレーションであり、自分たちのもつ情報システムが企業の生死を握るといっても過言ではないのである。エンドユーザーは情報技術を使ったビジネスの構築をもっと主体的に考え、信頼できるソフトメーカーと密接に関係をもつようにならざるをえない。
 インテグレーションビジネスは、エンドユーザーの側に立って、適切にプロダクトを選択していかなければならないため、製品販売ビジネスからは分離されていかざるをえない。この流れを読んで、うまく経営に取り入れたところが力をもっていくのだ。

1999年 9月20日

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