C community
「日本」がとれた背景に・・・  「見えざる手」のベクトル  ウィンテル環境から買う  ソフトをサポートするハード  ビジョンの定義  IT産業の行方  フィードバックのメカニズム  中央制御のないネットワーク  固定概念の打破  Javaとその思想  コンピュータに使われる人々  グローバルスタンダードは必要  変革のビジョン  標準主義と自前主義  オープンビジネス成功のカギ  標準主義への確信  日本が必要とするもの  変革をおこしたIネット  プロダクトインテグレーション  社会全体を捉えた情報システム  to Home
変革の瞬間−18
変革をおこしたIネット
変革をおこしたIネット

インターネットにコンピュータがつながったとき、情報共有と情報交換が世界的規模で始まった。しかもその技術や考え方は、規模の大小に関係なく、個人と個人のコミュニケーションから企業内、企業間などすべての場で使用できるものである。
 「青焼き」による情報伝達のやり方を覚えている人なら、企業を運営するための情報を社員に流すことが簡単ではないことを良く知っているはずだ。だから、情報を効率よく流すために、いったん情報を中央に集め、できる限りの決定をし、その決定事項を組織に流すという組織運営の枠組みをつくり上げた。このやり方は、「青焼き」が「ゼロックス」に変わり、「ファクシミリ」が登場しても、本質はなんら変わっていないのである。
 その壁を打ち破ったのが「インターネット」であり、インターネット技術による全方位的情報交換だったのである。この方法は「変革」なのだ。ただ単に、今までのFAXや電話より便利だというとらえ方は間違っている。
 組織運営ということで一番重要なことは、同じ情報が瞬時に全員に行き渡るということなのだ。それが何万人、何十万人であっても同じことだ。その方法には、メーリングリストを使うプッシュ型と、ウェブを使うプル型があり、用途によって使い分けることができる。
 どの人にどの情報を与えるかは、組織運営上の選択であって、技術による制限はすべて解決されたのである。この変革的手法をいち早く理解して取り入れた企業が、競争力を増すと考えるのはごく常識的と言えよう。米国でも、多くの先進企業がもたもたして、この変革に気づくのに手間取った。しかし、1980年代後半には積極的に取り組み始め、「リエンジニアリング」と呼ばれる「業務の根本的革新と経営基盤の見直し、再構築」が始まった。
 それに引き替え日本の現状は、過去に築いた社会システムや考え方に縛られ、新しい技術が使えなくなっているのである。この状況を打破するために、リエンジニアリングとまではいわないが、せめて情報技術くらいは新しい考え方で構築する必要がある。
 インターネット技術を使った社内情報システムを「イントラネット」といっているが、その構築に当たっては、インターネットという景色を思い浮かべながら情報共有、情報交換の場を社内につくらなければならない。そして、企業に働く個人をこの情報共有の場につなげるのだ。
 つながった個人の能力をどう育てるか。その能力をどう引き出すか。どんな役割を期待するのか。これらが、企業の競争力を高めるカギとなるのである。

1999年 9月13日

pagetop