子供が自分のフレームを獲得する過程
幼児教育を考えてみる。子供には親や先生が世界のすべてを知っている存在に見えているに違いない。子供のまだ未熟なフレームAに比べて親や先生の持つフレームCがとてつもなく大きいからだ。子供の成長とは自分のフレームを確立してゆく過程である。そこで親や先生は、うそをついてはいけないとか、約束は守らなければいけない、という風に子供の成長に合わせて子供が感じ取ることができるようなレベルに落としたフレームBを設定して、そこを軸に子供をしつけてゆく(1)。親や先生は自分の与えたフレームを理解させるために子供をほめたり怒ったりして教育する(2)。しかし時には子供がもっともな事を言ったり、そういうところをもっと伸ばしてやりたいと感じたりする事がある。そのときには子供を変えるのではなく、自分のフレームCに照らして子供に与えていたフレームBの方を変更する(3)。そのような過程を通して子供は大人のフレームを獲得してゆく。
教師としての立ち位置と教育フレーム
上の図をそのまま上下反転したのが左の図です。この図のほうがまえのより親や先生としてより実感が持てる図になるのではないでしょうか。このフレームの考え方で重要なことはフレームCがあるために生徒を縛っているフレームBが生徒の状況に合わせて柔軟に変更できるということです。
さて、今日の企業がおかれている状況を考えて見ましょう。20世紀は市場がいってみれば固定的でその動きが割りに単純で読めたので、組織フレームを固定してその中で効率を求めてゆくのが競争源でした。ところが今日では市場の好みが流動的で何をすればうまくゆくのかわからない状態で、競争相手も今まで考えていなかったようなのが出てきます。そんな中で企業はそのビジネス環境にあわせて組織運営フレームそのものを変えねばならない状況です。ビジネスモデルが言われるのはそのためです。つまり今まで必要があまりなかった、行動のフレームを考える、上位層のスーパーフレームが必要になったのです。左図において、フレームBを組織の行動フレーム、先生のフレームをスーパーフレームと考えると、流動的な市場に対する企業フレームがうまく制御される仕組みを提供していることがわかります。
変化の激しい時代の組織フレーム制御の構造
そこで上の教育フレーム構造を企業の経営構造として応用してみましょう。フレームの構造は全く同じですが、違うところはたとえば企業の経営者を例にとると、その日常行動の立ち位置がフレーム B に来ることです。このフレーム B は、ベンチャー企業を考えればわかりやすいですが、、市場やビジネス環境はこうなるから、こういうビジネスモデルでゆく、というようにSuperFrameが先に作られ、それに準じて作られるのが理想的な話です(1)。C の読みが間違っているとその組織は長続きしません。また SuperFrame C は現場からのフィードバック(2−3)や外部の情報を注意深く観察して、現実的な仮説をもって世界の流れにあったものに常時メインテナンスされねばなりません。そのような組織のあり方は Sense and Respond 組織に対応します。